通勤途中でケガをした場合、通勤災害に当たります。しかし会社の人も理解いていないケースが多く、様々な理由をいって通勤災害を拒否するケースも多く聞かれるのも事実。実際に通勤災害を経験した私が労働基準監督署の方のお話も交えて通勤災害にまつわるウソホントについて詳しく解説していきます。
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通勤災害とは
厚生労働省のHPの説明は
通勤災害とは、労働者が通勤により被った負傷、疾病、障害又は死亡を言います。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/rousai_hoken/tuukin.html
通勤途中にあったケガや病気などは通勤災害になります。
例外もある
通勤というのは「自宅から職場」、そして「職場から自宅」への間のことを言います。その道中は常識的に考えて合理的な道であることが必要です。
後程、詳しくお話しますが途中でどこかに立ち寄るなどあった場合は対象にならないこともあります。
通勤災害に健康保険は使えない
通勤途中のケガや病気などで病院にかかった場合、健康保険を使うことはできません。通勤災害は労災扱いになるからです。
健康保険を間違えて使ってしまっても途中から労災に変えることはできます。でも手続きが面倒だったり、いったん全額自費で負担することになる可能性があるので最初から労災である旨を病院に伝えましょう。
病院の受付で「労災申請中」である旨を伝えれば、慣れた病院だと会計を保留してくれる場合もありますが、一般的にはとりあえず自費扱いになることが多いので、しばらく出費があることは覚悟しましょう
通勤災害になる?ならない?
通勤災害は労災にあたります。そんなに多いケースではないので、会社によっては詳しくなく通勤災害の書類を出すことを拒むことも往々に聞かれます。
そんな時に間違って諦めてしまわないように正しい知識を身に着けておきましょう。
会社に提出の通勤経路と違うルートを通った場合
多くの会社では入社する時に通勤経路の書類の提出を求められることがあります。その目的は恐らく通勤手当などの関係です。この書類は労災に全く関係がありません。
会社に提出したルートを違うことを理由に通勤災害の認定がされないことはありません。ただしそのルートが明らかに自宅と職場の行き来をするのに合理的ではない場合は対象外となります。
労災というと職場はなにかペナルティがあるのでは?と嫌がるケースが多いみたいだね。そのため色々な理由を付けて断ってくる場合もあるらしいよ。
そうらしいね。労基署の職員さんも同じような事を言っていたよ。
でもそれは誤解で、通勤災害で会社にペナルティがいくことは基本的にないし、仕事上に発生した事故などの場合は会社に報告義務があるから、隠したことによるペナルティの方が重いってその時教えてもらったよ。
通勤途中でお買い物に寄った場合
この場合も日用品なら通勤災害に認められます。この他にも日常生活上必要と認められる行為であれば大丈夫です。
通勤災害でいう日常生活上必要と認められる行為の例
・日用品等の購入
・病院などで治療を受ける行為
・介護を必要とする家族のための継続的、または反復的に行われている介護
※介護を必要とする家族は以前は扶養・同居が条件でしたがH29年よりその条件がなくなっています。
通勤途中で喉が渇いて自販機で飲み物を買ったり、お手洗いによるなんてこともありますよね。そういったささいなことは通勤経路から外れてるとはみなされないのです。
ただしこれには条件があります。それは合理的な道中であるということです。
例えば喉が渇いたときに少しわき道に入って近くの自販機に寄るのは通勤災害では「中断」に認定され、問題ありません。しかしわざわざ少し離れたバーに寄ってお酒を飲んだ場合はこれは「逸脱」にあたり、通勤災害にはなりません。
いつも通っている道路が通行止めになっていた場合
通行止めなどで迂回した場合も、あまりにも逸脱した道でない限り認められます。通行止めの他、渋滞や事故で迂回した時も含まれます。また普段使っている電車やバスが運行しておらず、他の線を使った場合も同じです。
基本的に道は最短ルートである必要があります。
以前、夫がいつもと違うルートを通った際に事故にあったのですが、その際もかなり詳しく労基署の職員さんに聞かれました。
「このルートよりこっちの方が早い」とか、「なぜこの道を使わなかったのか」などです。
通勤途中に保育園によった場合
これはグレーゾーンです。
要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=330M50002000022_20200901_502M60000100141
通勤途中の中断にあたる行為の1つに上の条項があります。この中に子どもも書かれているので保育園も一見含まれるかと思えます。しかしこれはあくまで本人以外が誰も監護することができない場合に限ります。
つまり共働きで、もしくは配偶者や家族が病気などで本人以外が保育園に送っていくことができない場合は通勤災害の中断に該当し認められます。
しかし配偶者が専業主婦など送っていけると認められる場合は、合理的な寄り道には該当せず通勤災害とは認められない可能性が高いです。
出張などでいつも出社する場所と違った場合
出張でホテルから出張先の職場に出向いた場合もその間の事故やケガなどは通勤災害に認められます。
ちなみに私は事故に遭った日、普段出勤していた店とは違う店に出勤予定でした。ちゃんと通勤災害と認められましたよ。
通勤途中で忘れ物に気付いて戻った場合
業務上必要とされる物の場合は、通勤災害として認められます。例えば会社のロッカーの鍵や書類、作業用具などです。
社内サークルなどの活動をしていた場合
仕事終わりにサークル活動など長時間にわたって業務と関係ないことをしていた場合、例え会社内であったとしても通勤災害には含まれません。
通勤災害は家から職場まで、もしくは就労終わりから家に帰りつくまでの間のものが該当するからです。就業時間から時間が経っていると社会通念上、帰宅との関連性が認められなくなります。
単身赴任先から週末家族の住む家に帰った場合
この場合も認められます。しかしあくまで単身赴任が家族の扶養や親の介護など社会通念上必要と判断されるものの場合だけです。
パートの場合
パートであろうと正社員であろうと関係ありません。通勤災害(労災)は職種や雇用形態に関わらず雇用されている全ての人に適用されます。
迷った時は
これ以外にも色々なケースが考えられます。全て社会通念上、合理的といえるかどうかで判断されますが、認められるか分からない場合は労基署に確認しましょう。
通勤災害は提出された申請書を基に労基署が1ケースずつ判断します。通勤災害に当てはまると思う場合には申請書を出してみるというのも1つの手です。
厚生労働省の通勤災害についての資料はこちら
通勤災害申請を会社に断られてしまったら?
会社の記入は絶対ではない
通勤災害申請書には会社が記入する欄があります。そこに事業所名や事業所の社印などを押してもらい申請すのが一般的です。
しかし会社によっては通勤災害に詳しくなく、会社としては関わりたくないと断ってくる場合もあります。
その場合、事業主の欄は記入せずに労働基準監督署に提出すれば大丈夫です。
会社に一言書いてもらえればより良い
事業主の欄を記入せずに申請書を出す場合、可能なら職場から一言添えてもらいましょう。
内容としては、「なぜ通勤災害の書類への記入を拒否しているのか」というものです。
労基署の職員さんによると、この一言添える方が職場に問い合わせがいかなくて良いと話されていました。
だたの未記入で提出すると職場に確認の電話が入る可能性があるそうです。
もちろん会社に問い合わせがあったとしても会社にペナルティが言ったりすることはないので問題はないのですが、事務処理がスムーズに行くと聞きました。
通勤災害は労働者を守る権利!正しい知識を身に着けましょう
通勤災害は会社に勤めている全ての人の権利です。会社が認めなくても労働基準監督署が認定するかどうかを決めます。
分からないことがあれば労働基準監督署に問い合わてみてください。答えられる範囲で答えてもらえるはずです。
通勤災害は治療費や休業損害に関わります。正しい知識を身に着け損をすることがないようにしましょう。
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[…] ちなみに職場が通勤災害に対して非協力的で記入してくれない場合については、こちらの記事で詳しく解説しています。 […]