前回は、事故に遭った時のことや救急車で運ばれたときのことをお話しました。今回はその続きです。
病院に到着後、CTなどの画像検査を行った後、診察があり、入院が決まりました。部屋の準備などがあるため部屋に通されたのはお昼ごろだったと記憶しています。
それまで待合室で車イスに座り、あちこちとの連絡に追われました。置いてきた車のレッカーの手配、出勤予定のお店へのお客様の引継ぎ、上司への連絡、保険会社の担当からの連絡…サビれた病院の待合室に1人。薄暗さが余計に今後の漠然とした不安をあおっていました。
電話が落ち着いたころ、病室に。部屋は6人部屋の窓際で、他のベッドは全部埋まっていました。ベッドに座って、看護師さんから入院の説明を受けていた時です。
急に入り口の方からドタドタと大きな物音が。入ってきたのは60代くらいの女性でした。その人は真っ直ぐ私のベッドの方に歩み寄ると、「あんたホント何!急いでたの?飛び出してきて!気分悪いわ」と捨て台詞を吐いて病室を出ていきました。
時間にして数分だったと思います。突然の出来事に、その部屋にいた全ての人が固まり、私はひたすら謝罪するしかできませんでした。
当時は事故の全貌も分かっておらず、この方が誰かも分からないまま。ただ驚いてその気迫にしばらく震えが止まりませんでした。
入院説明を受けた後は特にすることもなく、心臓のドキドキが止まらず気持ち悪かったです。不思議なことに体の痛みは全くありませんでした。
そのまま出されたご飯を食べ、夜も寝ているのかどうかも分からないような状態のまま、朝を迎えました。気持ちとは裏腹に外は快晴。キレイな朝陽が病室の中にまで差し込んでいました。
朝ごはんの後の診察。主治医が「気分はどう?家に帰れそう?どうしたい?」と聞かれました。退院の判断はお医者さんがするものと思っていた私は一瞬戸惑いましたが、家に帰れるのなら帰りたいと思い、退院の手続きをお願いすることにしたのです。
持ち物は貴重品が入ったカバン1つだけ。家に帰るために読んだタクシーを待つ間、外に出た私は不思議な気持ちでした。昨日の朝に運び込まれただけなのに、もう何日も病院にいたようで、外の空気に触れた時になんだかホッとしたのを覚えています。
家までは10分程。タクシーの運転手さんとなんでもない世間話をしながら帰りました。家に帰ったその日、どうやって過ごしたのか全く記憶がありません。タクシーから見えた景色は覚えているのに不思議ですよね。
ただ入院したころからの気持ち悪さが続いていて、早めにベッドに入ったことだけ覚えています。この時は次の日から始まる悪夢のような日々を知る由もありませんでした。
次の記事では、初めて家で迎えた朝からのことを書いていきますね。
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